メッセンジャーズ・オブ・ピースについて


※本文中に出てくる「地域」は、世界スカウト機構の地域になります。例:アジア太平洋地域

「メッセンジャーズ・オブ・ピース」とは


メッセンジャーズ・オブ・ピース構想の目的は世界中の青少年がスカウティングの理念である「より良い世界を創る」ことに取り組むよう動機づけることにあります。
メッセンジャーズ・オブ・ピースは平和を構築する目的で世界中のスカウトが個人としてグループとして、また各国連盟として関わる事の出来る10年間のプロジェクトです。100周年の年に実施された「ギフト・フォー・ピース」プロジェクトの成功を受けて創設され、2011年9月28日メッセンジャーズ・オブ・ピース事業開始記念式典がサウジアラビアの首都ジェッダで開催されました。この式典において、サウジアラビア文部大臣ファイザル王子からカールグスタフ・スウェーデン国王に3,700万ドルの小切手が手渡されました。

メッセンジャーズ・オブ・ピースはグローバルネットワークとグローバルサポートファンドの2つで構成されます。

A. メッセンジャーズ・オブ・ピース(MoP)グローバルネットワーク

世界中のスカウトは何らかの形で地域における平和のために活動しています。いじめを防止して学校内の問題を解決したり、分裂したコミュニティーをつなぎ合わせたり、保健衛生に関する基本教育を指導したり、自分の地域での環境汚染問題を解決したりなどです。


ソーシャルメディアを活用しプロジェクトをインターネットを通じて登録できます。登録すると、Googleマップ上に赤い点となって表示され、他のスカウトがその赤点をクリックするとそこで実施されているプロジェクトの内容がわかるようになっています。
世界中のスカウト達がプロジェクトの情報を交換したり、協力したりすることでネットワークが広がり、最終的にはGoogleマップが赤い点で埋まることを目指しています。ギフト・フォー・ピースは110カ国、1,000万人が参加したが、MoPは2022年までの10年間で2,000万人(以上)の参加を目標としています。グローバルネットワークにはすでに12,000のプロジェクトが登録されています。

B. グローバルサポートファンド

グローバルサポートファンドには事業全体への寄付3,700万ドルの内、2,500万ドルが提供されています。この基金は各国連盟の能力を強化し、より貧しい国々のスカウトが地域に変化をもたらす活発な活動の実践を可能にします。この基金は、地域事務局を通じ、プロジェクトマネージメントツールによって管理され、これを用いて世界事務局と世界スカウト財団はプロジェクトの運営をサポートします。

アジア太平洋地域地域では、MoPの4つのプロジェクトが始められています。スリランカでは内戦後のタミールとシンガレーズのスカウトによる融合のためのキャンプが4ヶ所で行なわれました。インドではパキスタンとインドのローバースカウトによる融合のためのキャンプがガドゥプリで11月16日から20日の日程で開催予定です。インドネシアでは地域保健衛生の啓蒙プロジェクトが地方の村で行なわれています。また日本では2011年3月の地震と津波の被害地域の再生支援に使われました。


それぞれが計画するプロジェクトには費用のかからないものもあれば、費用が必要なものもあります。それに対して今回の寄付20億円を20年間で提供するというものです。基本的には年間2億円で10年の予定。これには個人、グループ、各国連盟、地域レベル、世界レベルだれでも応募することができます。ただ個人が応募する場合は必ず国連盟を経由する必要があります。応募の方法は金額に応じて、応募方法、報告方法等が異なります。個人が直接インターネットを通じて参加できるということで、ネットワークに対する国連盟の関わりはあまりないかもしれませんが、個人が登録したプロジェクトが実際に実行されることに意義があるので、その意味ではプロジェクト実施に対して国や県、地区、隊、団などの見守りと支援が必要と思われます。


背景


2001年の開始から、ギフト・フォー・ピースは110カ国1,000万人のスカウトが地域コミュニティーにおいての平和活動を始めるきっかけとなりました。エルサルバドルではスカウトはストリートギャング問題に対応し、ニューオリンズではハリケーンカトリーナ以後の復興に係わりました。レバノンではフェニックス・オペレーション、アフリカのグレートレイクス地域では部族間の平和教育に目覚ましい成果を上げました。シエラレオネでは悲惨な国内戦争後のコミュニティーの再建に、アイルランドではカトリックとプロテスタントのスカウトが行動を共にし、ハイチではスカウトが莫大な被害をもたらした地震の救助、救援に大きく貢献しました。


「ピース」とは何を指すのか?

スカウト運動における平和(ピース)には三つの側面があります。

1. 個人として: 調和、正義、平等
2. コミュニティーとして: 敵意、暴力的紛争の対極としての平和
3. 人類と環境との関係として: 治安、環境との良い関係

サポートファンドは何を支援するのか?

サポートファンドは次の5分野での支援が考えられています。

  1. 個々のピースプロジェクトの支援
    • 各国連盟はプロジェクトを新たに開始するために外部からの支援を求める場合、または既存の良いプロジェクをインパクトを上げて更に大きな物にするための支援を必要とする場合、サポートファンドに申し込む事が出来きます。
  2. 今まさに困難な状況にある青少年の支援
    • 各国連盟は困難な状況にある青少年が地域コミュニティーの支援に必要な技能を身につけるため、資金援助を申し込む事が出来きます。
  3. 対話を通した問題解決のトレーニング
    • 地域コミュニティーにおける平和と安定に関する様々な問題は相互コミュニケーションのあり方に起因します。地域コミュニティーの中で平和のメッセージを効果的に広げようとする時、スカウトは自ら提案し解決策を実行するのと同じくらい、要望を聞き取り、判断するという対話技能をスキルアップさせる必要があります。このための支援をサポートファンドに申し込む事が出来きます。
  4. 能力強化
    • 地域において成果を上げたプロジェクトを拡大して、更に多くの人々にインパクトを与えるには各国連盟のプロジェクト運営能力の強化が必要です。各国連盟に対してのこのための支援が提供されます。
  5. メッセンジャーズ・オブ・ピースのグローバルネットワーク構築
    • 一連盟、一地域によって発案されたプログラムの拡大化のためには、その経験や専門知識、考え方の共有が国レベルで、また地域レベルで共に欠かせない。このための人員と知識の交換を促進するための支援が可能である。

サポートファンドはこれらの5分野での支援を行い、経済的に厳しい状況の国連盟も、より影響力を持つメッセンジャーズ・オブ・ピースになることが出来きます。

誰が基金を受け取れるのか?

各国連盟、地域事務局、世界スカウト事務局が提案を提出できます。ローカルレベルからは必ず各国連盟を通して提出しなければなりません。経済的に厳しい状況の国連盟に配慮がされます。

どのように申し込むのか?

申し込みフォームに記入し、地域事務局を通して申し込みます。25,000ドル以下の助成金の場合、申請書は各地域事務局により英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語の何れかで記入してください。その内、概要は地域事務局の助けを得て英文を用意してください。25,000ドル以上の場合、申請書は英語のみです。地域事務局は翻訳の手助けをします。

申請の時期

25,000ドル以下の助成金の場合、申請書送付ははいつでも可能で、約1カ月で結果が分かります。25,000ドル以上の場合、年4回の申請時期があり、2月28日、5月31日、8月31日、11月30日です。地域事務局、委員会の審査を経て約3カ月で結果が分かります。すべての提出文書については7日以内に受け取りの連絡をします。

どのように審査されるのか?

申込書は以下の基準で審査される。上記のMoP基金の5分野に沿った内容であることが求められます。地域・世界の調査チームによって以下が尋ねられます。
‐どのように地域での必要性を認識したのか。
‐実行可能なプロジェクトか。
‐どのような効果が得られると考えるか。

また、調査チームは以下も考慮にいれます。
‐継続可能なプロジェクトか?助成金が無くなった場合継続できるか。
‐スカウト教育法を活用しているか。
‐単独ではなく、パートナーシップを結んでいるか。
‐プロジェクトのリーダーシップ
‐実現可能な目標かどうか。

誰が審査するのか?

25,000ドル以下の場合、地域審査会で審査されます。25,000ドル以上の場合、地域審査会での審査ののち、合同審査委員会で審査されます。審査委員長と委員1名が世界スカウト財団から選ばれ、世界スカウト事務局から1名とサウジアラビア連盟から1名が合同審査委員会に出席します。

どのように知らされるのか?

申請が通らない場合は地域事務局から理由が告げられ、希望が有れば再提出出来きます。申請が認められた場合は連絡が有り、スカウトウェブサイトにプロジェクトを載せる事が出来きます。

助成金の送金方法は?

申請が認められた場合50%が各国連盟の口座に振り込まれます。報告書の提出後40%が振り込まれ、残りの10%は最終的な決算報告がなされてから支払われます。

報告書の提出について

すべてのプロジェクトにおいて終了後に報告書の提出が求められます。様式は一般的なもので、状況に応じて写真などをつけてください。報告書用の資料準備のための予算をあらかじめ計上するか、別に助成金を申請できます。報告書の提出がなされないと、同一プログラムの新たな助成金は認められません。

プロジェクトの監査について

地域事務局が監査を行います。すべての経費について証拠を取ってください。

表彰について

年に一度、もっとも効果のあったプロジェクトを選びます。プロジェクトのリーダーたちを他のスカウトとの交流に招待します。

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