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創立100周年に向けて
日本連盟 理事長交代と常設委員会の取り組み

日本連盟創立100周年まで、いよいよあと2年。100周年に向けて、日本連盟は新たなスタートをきります。
奥島孝康氏が10年間務めた理事長を退任し、岡谷篤一氏(岡谷鋼機株式会社代表取締役社長)が新理事長に就任しました。奥島氏は長年空席だった総長に推戴され就任。総裁には経団連会長を務め、現在は名誉会長の御手洗冨士夫氏(キヤノン株式会社代表取締役会長兼社長CEO)が推戴され、2021年度からの就任が決まりました。総裁、総長、理事長の3役が揃うのは20年ぶりです。
また、理事も大幅に若返り、常設委員会も新メンバーで動き出しました。今年度は困難な状況でスタートしましたが、各方面さまざまなアイデアで乗り切ろうとしています。ボーイスカウト運動の発展のため、全加盟員が気持ちをひとつにして、歩みを進めていきましょう。

 

 

日本連盟 理事長就任のご挨拶
日本連盟理事長
岡谷 篤一

おかや とくいち/1944年生まれ。熱田神宮総代や名古屋商工会議所会頭等に従事し、現在は岡谷鋼機株式会社および岡谷不動産株式会社の代表取締役社長のほか、創業200年以上の老舗企業が加盟する国際組織「エノキアン協会」会長を務める。
愛知連盟では理事、理事長を経て2011年より連盟長に就き、日本連盟では理事として特別委員長等を務め、共済制度創設に貢献。2020年5月28日、日本連盟 理事長に就任。


この度、2010年から10年間の長きにわたり、理事長を務められ、数多くの功績を残されました奥島前理事長の職を引き継ぐことになりました。改めて、奥島前理事長の献身的なご活躍に御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
第11代理事長就任にあたり、浅学非才でありお役に立てるか私自身が心配しております。指導者の皆さま、そしてスカウトの皆さんのご支援とご協力をお願い申し上げます。2年後の2022年に控えた日本連盟創立100周年には、連盟の新たなスタートをきることができればと思っております。

日本連盟は、加盟員減少に伴う財政と組織の改革に取り組んでおり、その実現に多くの皆さまが献身的な努力を続けておられます。今後も皆さまの積極的な参画をお願いしたいと思います。

戦後団塊世代の70年前には、1年間の出生人数は250万人超、昨今は90万人を切る状況で少子化への大きな変化があり、大都会への人口集中もあります。このような中で組織が成長を続けるには、時代とともに変化させるべきこと、変化させてはいけないことを各々明確に認識することが大切です。すなわち、変えてはいけないことは、活動の原点である「自然の中でスカウトの仲間たちと技術や知識を楽しく学ぶ」ことであり、改めて原点回帰の努力をしたいと思います。

都会の中、ビル街での活動になってはいないでしょうか。自然のある地域での活動が伸びているかと思うとそうでもないように思います。人口の多い都会県連盟だけでなく全国の県連盟に目を向け、育成することにより注力したいと思います。
その他の多くは、時代に合わせて変化させないと生き残ることは難しいでしょう。その変化を牽引するのは、感性あふれる若い力だと確信しています。近年は多くのローバーがさまざまな場で活躍しており、日本連盟や各県連盟とも一緒になって新しいボーイスカウト運動作りを手伝ってもらいたいと思っています。

また、現在、世界において新型コロナウイルスによる感染症が猛威を振るっており、私たちの活動も残念ながら自粛せざるを得ない状況が長く続きましたが、そのような状況下においてもインターネット配信による全国大会を開催するなど、多くの方のご協力を得て全国がつながることができました。今回の全国大会のようにデジタルトランスフォーメーションを活用し、日本連盟のインターネットインフラを整備して、日本全国だけでなく世界中により多くのスカウト仲間を作ることができればと思います。

私自身も戦中生まれで決して若くはなく体力はありませんが、気力を充実させて日本連盟の若返りのお手伝いをしたいと思います。朝令暮改、失敗を怖れずに挑戦して使命を果たしたいと思いますので、今後ともよろしくご厚誼いただければ幸いです。

(2020年5月30日 全国大会より)

 


 

日本連盟 理事長退任のご挨拶
日本連盟総長
奥島 孝康

おくしま たかやす/1939年生まれ。愛媛県連盟宇和島第1隊、早稲田大学ローバースでスカウト活動に参加。37歳で早稲田大学法学部教授に就任し、その後、早稲田大学第14代総長を務めたほか、公益財団法人日本高等学校野球連盟会長、NPO富士山クラブ理事長等を歴任。
2010年から2020年まで10年にわたり第10代日本連盟 理事長を務め、2013年から学長を務める白鴎大学に大学ローバー隊(小山第6団)を設立。栃木・小山第6団団委員長、東京連盟 連盟長。日本連盟 理事長を退任し、2020年5月28日、日本連盟 総長に就任。


私が日本連盟の理事長に就任してちょうど10年になりました。これまでボーイスカウト以外にもさまざまな役務を担ってきましたが、長いものでも10年でその役目を終えてきました。ここで、ボーイスカウト日本連盟の理事長の職もこの10年をもって一区切りとさせていただきたいと思います。

10年という長い月日のなかで、私としては「もっと自分で体験する、体験を中心とした訓練を行うべきだ」ということを、かねてから考えておりました。そのことを再三再四、強調してきたつもりです。つまり、「ウッドクラフト」と「パトローリング」の2つを中心に、野外を中心とした体験の活動をするということを心がけてきました。

我々が考えなければいけないのは、「Creating a Better World」です。多くの人にとって、より良い世の中を作っていく一助になることを目指すのが本来のボーイスカウト運動であったと思いますが、いつの間にか自分たちが楽しむことに限られてきてはいないでしょうか。

ウッドクラウトやパトローリングという考え方による活動が、楽しくてしょうがないという体験になり、その人だけでなく世の中にとっても良いことにつながります。ですが、この運動そのものがどこか歪曲されてしまい縮小してしまっている、そういったパッションを生み出せなかったということは非常に残念なことです。

私としては、これからこの運動をさらに大きくしていくためには、新しい風、新しい息吹を入れていく必要があると考えます。大変申し訳ないことに、私がこの10年で十分に耕しきれなかったこの土地を、引き続き耕していっていただくために、岡谷新理事長に望みを託したいと思います。

あらゆることを経験なさってきた岡谷新理事長には、また新たにボーイスカウト運動を盛り上げていただきたいと思います。そして皆さんには、どうかその後押しをお願いしたいと思います。皆さんの力強い後押しや激励が岡谷新理事長を力づけ、その指導力を発揮していただくことになるでしょう。

皆さん、新しい理事長のもとで気分を一新して、新しいボーイスカウト運動に取り組んでいきましょう。

(2020年5月30日 全国大会より)

 

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年7月号より

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