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<機関誌「SCOUTING」2022年9月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

第18回日本スカウトジャンボリー開催を振り返って

日本連盟創立100周年記念大会として、第18回日本スカウトジャンボリーを多くの関係者のご尽力によりコロナ禍を乗り越えて開催することができました。

中央会場は8月5日~10日に東京で、サテライト会場は、8月4日~9日に埼玉県秩父ミューズパークと熊本県あしきた青少年の家で実施しました。そして、この期間を中心にジャンボリーサマー 2022として、夏休み期間中に全国250会場で14,000人のスカウトたちが「100+f~自分のfを探せ~」をテーマとし、感染症、熱中症対策を行いながら「分散開催」のジャンボリーを展開しました。

今回のジャンボリーは100周年記念という意味もあり、当初の企画段階では、日本中が、いや世界中が注目する東京2020オリンピック競技大会の開催跡地を利用して、「future未来に向かっていく」スカウトたちの活動を、ビルの森の中、コンパスを使い道を進むパトローリングの姿を見られることを想像していました。

しかし、2019年暮れから始まった新型コロナウイルスの感染は、瞬く間にパンデミックとなり、東京五輪が1年延期となり、ジャンボリー会場の予定地も当初計画での準備や使用ができなくなりました。

大会実行委員会はもとより日本連盟理事会でも検討を重ね、第18回の開催年や会場を仕切り直すか熟慮しました。しかし、4年に一度のジャンボリーは、スカウトたちの憧れであり、特別の想いです。日頃の班や隊活動を通じ、班長を中心として班員たちが積極的に知恵と力を出し合い、他の班と競いながら、チームワークを発揮する絶好の機会を無にするわけにいかないとの思いで実行委員会は知恵を絞り「分散開催」を決定しました。

「分散開催」ではありましたが、各方面からの協力者のご尽力により、距離が離れていてもネットワークで繋ぐことで、他会場で頑張っているスカウト同士の姿を身近に感じ、一体感を味わえたかと思います。このような体験により、きっと、大会テーマの「100+f」から、「未来(future)」、「 友だち(friend)」、「 家族(family)」といったキーワードを探ることができたのではないでしょうか。 それぞれの隊においても、創意工夫してジャンボリーサマー会場を設定し、「ジャンボリー日本一プログラム」の提供にご協力いただきました。

8月7日のジャンボリー大集会では、全国をネットで繋ぎ、大集会会場に秋篠宮皇嗣同妃両殿下をお迎えすることができました。秋篠宮皇嗣殿下からは、スカウトたちに心温まるメッセージをいただきました。

このような形での開催に、参加したスカウトたちは、それぞれの場所での「第18回の夏」となりましたが、日本連盟100年の歴史の中で、皆の記憶に残る大会となったことでしょう。実行委員会の方々をはじめスカウトのためにご奉仕いただいた指導者の皆さまに感謝いたします。

100周年記念事業実行委員長/日本連盟専務理事
佐野 友保

 


 

指導者の皆様、県連盟・地区、日本連盟大会関係者の皆様、本当にお疲れさまでした。
従来にない分散型、期間を定めて各地で開催されるという、従来とは全く違う方式によるものとなり、スカウト、指導者はもとよりブロック、県連盟関係の皆様には戸惑いや混乱が多々あったことと存じます。

さらには新型コロナウイルス感染症の第7波ともいえる全国的な流行の最中となってしまったことは、さらにスカウト保護者、関係者並びに大会関係者の皆様にご負担をおかけする結果となったことと存じます。

皆様の努力により多数の会場でのキャンプの実施ができたこと、寸前まで開催が危ぶまれたジャンボリー大集会については、秋篠宮皇嗣同妃両殿下をはじめ多数のご来賓をお迎えした中で、会場に集まったスカウトたち、サテライト会場をはじめ全国の県連盟、地区、団の分散会場で頑張っているスカウトたちの姿をお見せできたこと、そして彼らスカウトたちの力で立派に運営できたことは大変よかったと思います。

また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、いつくかのサテライト会場での開催が中止になりました。大変残念ではありますが、これも一つの選択肢であり、勇気ある撤退として今後の教訓にすることが重要だと思います。

私がうれしく感じたのは、サテライト会場での行事は中止になったが、団や地区でこれらをカバーするキャンプを急遽設定し、少人数で感染防止策をとり、キャンプを実施されたスカウト諸君が多数おられたということを耳にしたことです。これもまた、スカウトらしい粘り強い行動と感じました。

多くのスカウトが一つの会場に集い、日ごろの技を競い、友情を確かめ合う従来のスカウトジャンボリーが開催できなかったことは残念ではありますが、いつもの仲間、指導者たちと少し違う形でのスカウトジャンボリーを体験できたことを新たな観点から評価していただき、明日からのスカウト運動への糧としていただければ幸いです。

最後になりましたが、第18回日本スカウトジャンボリ ーにご参加いただいた皆様、参加スカウトをお支えいただいた団、隊の指導者、県連盟・地区関係者の皆様、日本連盟関係者並びにスポンサー等陰になり日向になりご支援をいただいた皆様に深く感謝いたしますとともに敬意を表します。

総コミッショナー
村田 禎章

 

ボーイスカウト日本連盟100周年記念の日本スカウトジャンボリー

1956(昭和31)年に長野県軽井沢で開催した第1回日本ジャンボリーから66年、17回の歴史を経て、2022(令和4)年夏、第18回日本スカウトジャンボリーを史上初の全国分散開催という形で実施しました。
日本連盟100周年記念事業として「100+f〜自分のfを探せ〜」をテーマに東京都内での集合開催を企画準備していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限などの事由から、リスクを最小限に抑えるために、政府の基本対処方針に基づく万全の対応が施せる規模での地域開催を全国の都道府県連盟にお願いし、さらに地区や隊の単位で夏休み期間中に何時でも参加できるジャンボリーサマー2022の機会を提供することで、全国14,000人が登録する「ALL OVER JAPAN」の大会を全国250を超える会場で展開しました。

開催直前の7月には全国的に新型コロナウイルス感染者数が急増しましたが、複数の会場において大会規模の変更や、ジャンボリーサマー 2022への移行など、さまざまな工夫と関係者のご尽力により、多くのスカウトが第18回日本スカウトジャンボリーに参加する機会を得られたことを、全国47都道府県連盟をはじめご協力いただいた関係各位に改めて感謝するものであります。

第18回日本スカウトジャンボリーが分散開催になったことから、オンラインアプリを活用した「スカウト同士のつながり」や、全国と相互に中継をつなぐ「ジャンボリー大集会」、夏休み期間中を通じてスカウトスキルを競い合う「ジャンボリー日本一プログラム」などネットワークを活用しました。その一方、全国すべての県連盟から1級スカウトを募り実施する「代表スカウトキャンプ」や、複数の県連盟が集う「サテライト会場」の設置など、新型コロナウイルス感染症拡大により停滞したスカウトキャンプの再興に向けての展開が為されました。

また、第18回日本スカウトジャンボリーでは、スカウトにとって大会が単なるイベント参加に止まらぬよう、提供するさまざまなプログラムにおいて総コミッショナーのもと、全国のコミッショナーおよびスカウト指導者に、準備期間よりスカウトの指導にあたっていただいたことに心より感謝いたします。

ジャンボリーの熱い夏は過ぎましたが、私たちスカウトは現在の困難な状況の中でも「そなえよつねに」を忘れずに、笑顔を絶やさず健康な生活を送り、来る第19回日本スカウトジャンボリーでの再会に向け、ボーイスカウト日本連盟100周年の節目を超え、勇往邁進していきましょう。

第18回日本スカウトジャンボリー実行委員長
白川 雅之

 


5県連盟が準備を進めたサテライト会場

「ONE DAY JAMBOREE IN 東扇島」でのパフォーマンス

サテライト会場を設置し、分散開催となった今回のジャンボリー。宮城、茨城、埼玉、神奈川、熊本の5県連盟の協力を得て、全てのサテライト会場で他県連盟のスカウトや運営スタッフを受け入れ、県連盟の枠を飛び越えた交歓行事なども多く予定されていました。しかし、折からの第7波の影響で、宮城、茨城、神奈川の3会場で、サテライト設置の中止を余儀なくされました。


九州各地からスカウトが参加した熊本サテライト会場。
8月7日のジャンボリー大集会には中継で参加し、チームワークの良さを見せてくれた。

予定どおり実施することができた埼玉サテライト会場では、進級課目と関連させて参加したスカウトの進歩促進につながるプログラムや、秩父の山を存分に活用したハイキングなどのプログラムが数多く用意されていました。また、熊本サテライト会場では、必須プログラムの「水俣病の公害学習」のほか、ペーロン漕艇や流木ウッドクラフトなど海のプログラムがたくさん用意されており、両サテライトとも、会場内外にスカウトの笑顔と歓声が広がっていたとのことです。

残念ながら、中止となったサテライト設置県連盟では、直前の決定にも関わらず、「なんとかスカウトに夏のプログラムを !」という隊指導者や、「じゃあ、私たちが自分で夏のプログラムを考える !」というスカウトが、隊キャンプなどジャンボリーサマー 2022の計画をしている姿が見られたのがとても印象的でした。

会場統括部 部長
木村 寿宏


 

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年9月号にも掲載している内容です

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