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国際委員会では、「Scouting Never Stops」の取組みの一貫として「オンラインで世界を探検しよう」と題して、世界各国の活動や、国内で行うことができる「国際」の取組みを8週に渡り、スカウトや指導者の皆様にお届けを予定しています。今回は、第7週目の企画となります。

7月に入りましたが皆さんは全国大会の見逃し配信はご覧になりましたか?まだの方は今月末までの公開なので、ぜひご覧になってくださいね。今回はその全国大会で海外派遣の経験を語ってくれた方々から、テーマ集会では時間の都合で紹介できなかったものについて紹介したいと思います。

第7回 経験者が感じた海外派遣の魅力

ここで、改めて全国大会で経験を語ってくれた話者の方々を改めてご紹介します(かっこ内は昨年度の参加海外派遣)。

大阪連盟寝屋川第7団
親木陽介さん
(スカウト特別海外派遣)
東京連盟世田谷第10団
枝迫雄大さん
(スカウト特別海外派遣)
福岡県連盟北九州第5団
小山訓さん
(第13回アジア太平洋地域ローバームート)
神奈川連盟相模原第8団
小山内恵里奈さん
(第13回アジア太平洋地域ローバームート)

 

Q.海外派遣に参加してみて何か自分の中で変わったことはありますか?

親木さん : 現地でも日本でも他人ありがたみを心の底から感じました。そこで、日本に帰ってきてからは、より他人に感謝するように心掛けていますし、自分自身が還元することを目指して活動するようにしています。
枝迫さん : 海外に行く度に色んな人に、ただ相手の好意で助けられてきました。その分、現地ではもちろんですが、帰国後には困っている外国人や日本人を見つけたら意識的に声をかけるようになったと思います。また、どの国にも大抵スカウトが待っていてくれていると思えるようになって、単純に海の向こう側に行って生活することが選択肢として増えました。
小山さん : たくさんの人やものに触れ、人生を見つめ直す機会となりました。社会貢献を強く意識するようになり最終的には再受験して医学部に進学し、今春から研修医として医療の最前線にいます。私はとても運がよかったと思いますが、挑戦したから得られたものであり決して特別なものではないです。多くの後輩たちに自分の殻を破ってほしいです。
小山内さん: 日本のボーイスカウトを客観的に見ることができるようになりました。また、森林火災の影響を身をもって体感して、気候変動が一個人の生活に影響を及ぼしているということを思い知らされました。それを通じてSDGsに少しだけでも取り組む必要性を感じました。

Q.海外派遣に初めて参加したときは緊張しましたか?

親木さん : すごく緊張しました。実際に行くとき、英語での会話が得意というわけではなかったので、空港や現地で意思疎通が出来なかったらどうしようと不安でした。が、行ってみるとほとんどの人が優しくしてくださり、英語での会話もなんとかなり、無事に過ごせました。
枝迫さん : 緊張はしましたが、同時に、圧倒的なワクワク感に興奮します。これは今でも変わりません。あの「そわそわ、ふわふわ、ワクワク」感は海外派遣の醍醐味です。

全く性質の違うものですが、忘れ物や盗難などの危険はないか、といつもとは違う緊張感はあります。

小山さん : 派遣団のメンバーと馴染めるかどうかとても不安だった記憶があります。初対面にもかかわらずすぐに打ち解けて協力できるのがボーイスカウトの不思議なところだと毎回驚きます。1人では無理なことでも仲間とならなんだかんだ楽しく乗り越えられます。
小山内さん: 緊張というよりも焦りのほうが強かったです。直前に準備不足で焦りましたがなんとかなりました。

Q.海外派遣の中で一番心に残っている瞬間は?

親木さん : 色々ありましたが、サイクリング初日におじいさんが水をくれたことです。計画時点ではちゃんと水を買う計画をしていましたが、海外に来ての緊張やあがっていたこともあって水を買い忘れてしまいました。それで、計画を忘れてしまったことで自分自身に対してかなり落ち込んだのと、水不足で体力の限界だった時に人のやさしさに触れて感動しました。
枝迫さん : 特別派遣で訪れたアイスランドで、僕がスカウトとして来ていると話したことをきっかけに、ホステルでできた仲間や現地のおじいさんたちの仲からスカウト経験者が「俺もスカウトだった」とどんどん現れて、そこで交流が生まれていったこと。

とても寒い、一面オーロラの空の下で、さっきまで他人同士だった人達がスカウトソングを合唱し始めたときはカッコよすぎてちょっと泣きそうになりました。

小山さん : オーストラリアからの帰国の際の話です。派遣当時オーストラリアは未曾有の森林火災に襲われ多くの都市が実質ロックダウンになりました。日本連盟や旅行会社、航空会社など国内、オーストラリア問わずありとあらゆるところに連絡しましたが、非常事態時の国際便の手配は難渋しました。途方に暮れていたところ最終的に現地の日本航空の職員の方が「私の責任で席枠を用意いたします。お客様はお持ちのチケットのまま受付カウンターにお越しください」と言ってくれました。彼女のおかげで全員無事に帰国できました。責任をとる覚悟のある大人はかっこいいと思いました。
小山内さん: ひとつには絞れません。ムートの開会式でのたくさんのローバーが集まってたくさんの国旗が登場したときは、お祭り感がすごくて「これが海外派遣か」と圧倒されました。また、NEW YEARS EVEに行われた年越しイベントでは言葉が通じなくても音楽やダンスでみんながつながれるということを知りました。その時はいつのまにか会場のスカウトたちで輪になっていてとても感動的でした。

Q.VS年代で国際的な活動ができていたらどうでしたか?

親木さん : 当時、もっと国際交流をしていれば今より英語が上手くなれただけではなく、もっと早い段階で海外に行ってみたいと思うこともできたと思います。また、もっとはっきりと「~に行って〇〇を学びたい」といったことを想像できて、RSになったときの活動の幅が広がっていたのかなと思います。
枝迫さん : 私はベンチャースカウトのときから国際的なスカウティングに積極的でした。当時出会った外国スカウトたちとは今でも交友があり、財産になっています。また、交流を通して自分の英会話力に不足を感じたことは後の留学でも動機の1つになりました。

4年間の大学生活を充実させる自分の強みになったと感じています。

小山さん : 私は医師としての人生を歩み始めたところです。この原点はVSのときに参加したフィリピンでの国際派遣であり、世界ジャンボリー、国際キャンプスタッフ派遣やバックパッカーの経験が人生の振り幅を大きくしたと考えています。経験したことのない領域に踏み出すことが大切で、それによって人生の歯車が回り始めます。ボーイスカウトにはさまざまなことに挑戦する皆さんをサポートするシステムや大人の援助があります。facebookなどを通じて私に相談してくださっても歓迎します。自分の人生がどんどんおもしろくなっていくことを実感して楽しんでください。
小山内さん: 日韓スカウト交歓計画(2019年1月)で奉仕をしたときに、国際交流に興味があるベンチャーがたくさんいることを知りました。同年代の海外スカウトと交流できる機会はなかなかないですし、これから将来の方向性を少しずつ決めていく年代には貴重だと思います。大学で国際的なことを学ぶにしてもいろいろな分野があるので、高校生年代で漠然と国際という分野について興味があれば海外派遣などに参加してみると、より自分が興味を持っている分野がわかるかもしれません。

ちょうど上でFacebookという単語が出たのでどさくさに紛れて宣伝するのですが、派遣の前の情報が少なかったのでこれからは自分たちが積極的に発信していこうという派遣員の方針から、出発前にFacebookとInstagramの運用を始めました。派遣期間中の様子が少しわかります。私自身は派遣前に相談できる人が身近にいなかったので、今後の派遣に参加する方に少しでも役立つツールであってほしいと思います。SNSにもいろいろな情報が転がっているので、事前準備に活用すると派遣期間がより充実すると思います。

Q.自分で計画して海外派遣に行くときにこれだけは心しておけということはありますか?

親木さん :  自分で計画するため、計画力や作業量などで苦労することがあると思います。学業やアルバイトとの両立はそれなりに大変なので、覚悟が必要です。しかし、周囲の指導者の方がサポートしてくれますし、何より計画段階でも大きな成長を得られました。
枝迫さん : その土地でなければ、またその年でなければ、さらに、自分でなければできないプロジェクトになっているか、ということにこだわり理解しておくことが求められると感じています。事前にこれにこだわれば、現地で想定外のこと、予定通りにいかないことが起きても貴重な機会を有意義に過ごすことができます。
小山さん : 自分にとって最高の選択肢が何なのか予め分かっている人はなかなかいません。だから、チャンスがあったらすぐに飛び込む姿勢が重要です。自分自身の興味関心をよく理解し、普段からアンテナをはって好機をタイミングよくつかみましょう!
小山内さん: 自分自身では計画書を作成していないのですが、派遣において自分がどういう意識を持ったほうがいいと思ったかというと、多少図々しくても問題ないということです。

海外から来たからといってすべての人がやさしくしてくれるわけではないので、冷たくされても気にしないでください。海外のスカウトとの関わりについて言えば、図々しく話しかけたり関わっていくことで打ち解けていけると個人的に思います。助けを求めれば助けてくれる人がたくさんいるのは確かです。

 

話者の皆さん、ありがとうございました。いかがだったでしょうか。世界では未だ新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、今年度の海外派遣事業もほとんどが中止や延期となっています。そんな中でScouting Never Stopsの一連の記事を含めてオンラインを活用した活動は活性化しています。しかし、実際に経験してみないと分からないことは数多くあります。海外派遣はそうした貴重な経験が得られる機会です。皆さんも派遣事業が再開されたときにはぜひ参加してみてください。


文責:国際委員 津田祥太郎

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