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<機関誌「SCOUTING」2022年3月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>


山梨連盟
富士吉田第1団

日本一の標高と美しさを誇る「富士山」の北麓、富士吉田市を拠点に富士五湖周辺で活動している富士吉田第1団は、1966(昭和41)年に発足し、コロナ禍でもほとんど人数を減らすことな く、現在、スカウトと指導者あわせて100人規模で活動している。隊指導者の多くがスカウト経験者という富士吉田第1団に、「元気の秘訣」を伺いました。[2022年1月 オンラインにて]

 

団出身の指導者陣で各部門の活動を大切に

それぞれの隊活動を大切に

隊活動を大切にしている富士吉田第1団。山や湖といった恵まれた自然環境の中で、スカウトたちはのびのびと活動を行っている。ビーバー隊は、とにかく仲良く楽しく遊ぶ。隊指導者の中で最年長のビーバー隊長は、自身が孫と遊ぶ感覚で楽しみながら日々の指導にあたり、スカウトが「また来たい」と思う集会にすることを心がけている。たとえば、活動中に、小学2年生のスカウトに「今日の隊長」を任せることで、子ども同士の世界を広げ、活動を盛り上げるのも工夫のひとつ。

常時20人以上で構成されるカブ隊は、身近な山や川でのハイキングなど、この地域ならではの自然の中で活動を楽しんでいる。近隣にボーイスカウトがない自治体もあり、富士吉田市内外の複数校から子どもたちが集まっているため、活動範囲が広いことも好条件だという。自身も幼少期から活動してきたカブ隊長は、近年ますます重要になっている安全面に配慮しながら、以前と変わらず野外中心の活動を続けることに軸を置いている。

自然の中でキャンプを重ね、夏の長期野営や大会参加などを中心に活動しているボーイ隊。ここ2年はコロナ禍で宿泊活動や対面集会に制限もあり、オンラインでの活動に切り替えた。活動の継続を第一に、どのような形でもスカウトが関わり合う機会を多くもつことを大切にしている。また、欠席しても別日にフォローするなど、きめ細かな配慮でスカウトの参加率を維持。現在は、以前のように野外で思い切り活動できる日を心待ちに、日々準備しているところだ。県外への進学希望者が多いベンチャー隊は、感染予防策を講じながら、2、3か月に一度のペースでキャンプをしている。

中には、塾が終わってから合流するスカウトや、朝になってキャンプ場から直接部活に行くスカウトがいるなど、自身の生活スタイルとスカウト活動を両立している活発なスカウトが多い。また、県内他団のスカウトとの合同キャンプも楽しみの一つ。他にも隊長の家に集まって食事作りをするといった集会もあるそうだ。ローバー隊は、コロナ禍によって活動の機会は限られているが、若者の間で話題の料理やスカウト以外でも楽しめる活動など、県域の仲間たちと SNS 等で繋がりながら、「今できること」に取り組んでいる。

団としては、「まずはスカウトが自分たちの活動を思い切り楽しんで、いずれ指導者として帰ってきてくれたら」と考えている。団出身の指導者が多いからこそ、「自分たちもそうだったように、思いきりスカウト活動を楽しむことができれば、いずれ指導者として団に戻ってくる」と信じて止まない。

保護者との関わりと、地域の支援

新規入団の多くは保護者の口コミから。希望者はどんどん集会に参加してもらい、上進時期に揃って入団する。
ビーバー隊では保護者が活動に付き添う団も多いが、この団では普段の活動に保護者は参加せず、クリスマス会などで成長した姿をお披露目。保護者会も年1回。その分、保護者には集会の写真を SNS で共有し、活動への理解を深めてもらう。

そのため、SNS は欠かせないツールだという。毎年秋には、勧誘の取り組みとして、団全体でスカウト体験会を開催。ボーイ、ベンチャー、ローバーの各スカウトがチェックポイントを担当し、ビーバーとカブは友だちを連れて来てみんなで楽しむ。スカウトたちが中心になって運営していることが好評を得ている取り組みだ。

財政面では、地域の支援が大きい。団創設当初から、地域の事業経営者などの方々が賛助会員として団を支えてくれている。そして、賛助会員を増やすための実動部隊は団委員が務め、隊指導者が隊活動に専念できるようにしていることもポイントだという。さらに、市教育委員会がボーイ・ガールスカウト推進本部を設置して活動を応援してくれるなど、周囲のサポートも手厚い。

各部門を繋ぐ伝統の鼓隊

昔からあった鼓隊はしばらく活動を休止していたが、発団 30 周年を記念して平成8年に活動を再開。カブ隊を中心に、市のお祭りで演奏発表するなど、地域で活躍している。部門を超えたスカウトの教え合いや、指導者の助け合いの機会にもなり、団全体の連携を強めることに繋がっている。

「演奏発表の機会や、一緒にコラボしてくれる隊などあれば声をかけてもらいたい」と、全国の団との交流が増えることを楽しみにしている富士吉田第1団は、伝統を守りながら歩み進めていくだろう。

 


お話を伺った指導者の皆さん。気心知れた仲間たちによる笑顔の絶えない団。「スカウトたちの楽しい活動を見守りたい」という指導者の共通の想いと、風通しの良い雰囲気が伝わってきました。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年3月号より

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