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運営委員長所感

 

2泊3日のローバースカウト集合訓練が終了し、この訓練の運営委員長としての所感を共有いたします。

いまなぜ防災減災訓練なのか、その問いに対する答えは明確です。災害はいつどこで起こるか分からないのが現状です。我々が防災訓練を行う理由は、未来の災害に備え、先ずは自分自身をしっかりと守る自助を大前提で、被災地の人々と助け合いながらと支援を提供できる準備を整えるためです。この訓練を通じて、私たちはその重要性を再確認し、誰かの役に立つ力を育みました。

訓練中、共助の精神が輝きました。みなさんは協力し、お互いをサポートし、チームとして困難な状況に立ち向かいました。共助の原則は、個人の力だけではなく、協力と連帯の力によって災害に対処する重要性を示しました。これはボーイスカウトの教義とも一致しています。

地域社会への貢献も本訓練の焦点でした。我々は地域での支援役割を理解し、その意味を感じました。防災教育と災害支援において、ボーイスカウトの力を地域社会に提供することは、我々の義務なのです。

ボーイスカウトの力が発揮された瞬間がたくさんありました。リーダーシップを発揮したスカウトたちは、危機的な状況で周囲を指導しました。協力とチームワークに貢献したスカウトたちも多く、互いに学び合いました。これらの経験は、将来のリーダーシップの成長に向けて、不可欠なものとなったことでしょう。

最も印象的だったのは、この訓練を通じて、私たちは実際に誰かの役に立つことができるという自信を深めたことです。訓練の成果を地域社会に還元し、地域の安全と繁栄に貢献することが、ボーイスカウトの存在意義と言えるでしょう。

この2泊3日のローバースカウト集合訓練は、皆さんにとって貴重な経験となったことでしょう。今後もこの経験を活かし、地域社会においてボーイスカウトの精神を発揮しましょう。再度、参加してくれたみなさんに感謝の意を表します。この訓練で得た知識とスキルを大切にし、誰かの役に立つ存在として成長し続けましょう。

運営委員長 牧島 宏之

新着情報

  • 【2023.10.25】まとめ動画を掲載しました。NEW
  • 【2023.10.23】実施報告を掲載しました。
  • 【2023.07.27】参加者の申込締切を延長しました。
  • 【2023.06.29】参加者の募集を掲載しました。
  • 【2023.06.01】ローバースカウト集合訓練のページ公開、運営委員の募集を掲載しました。

2023年度ローバースカウト集合訓練~防災・減災でスカウトができること・やるべきこと~実施概要報告

実 施 日 事前訓練:事前講義の第1回目を9月1日(金)にオンラインで実施し、その後計5つの事前講義の動画を配信しました。
集合訓練:2023年9月16日(土)~18日(月・祝) 2泊3日間
実施場所 事前訓練:オンライン
集合訓練:MOA大仁研修センター(静岡県伊豆の国市)
参 加 者 ローバースカウおよび同年代の指導者 17県連盟から41人(男22人、女19人)
運  営 成人指導者とローバースカウトによる運営委員会により運営した
指導者15人、ローバースカウト5人、奉仕者2人
訓練想定 さまざまな災害がある中で、訓練で想定する災害はどうするか、また、発災後から時期を追って刻々と変化する避難所運営の、どのフェーズを経験してもらうかが、運営委員会編成からの大きな議論となり、実際のプログラム内容を組み立てながら、最終的には次のように想定をまとめました。
また、訓練当日は集合して実施できることを優先して、個人でできることは事前課題で取り組み、講義については事前の動画視聴で対応し、2泊3日間のプログラム内容を整理していきました。
・災害想定:発災から一定の期間、広域的な支援が期待できない大規模災害として「東海・東南海地震」を想定する。
・訓練想定:MOA研修センターでローバースカウトが活動中に発災、周辺住民等がセンターに避難して来て、本来の運営組織である地域防災組織が十分な体制を確保できない状況を想定する。
・フェーズ:発災直後の避難所開設フェーズから展開フェーズまでの数日間とするが、訓練内容に応じて幅広に考える。
事前課題 参加申込者には、参加案内とともに事前課題を与え、オンラインおよび動画配信による事前講義を行いました。

集合訓練までに、次の事前課題を行い、準備してください。
(1)あなたが現在住んでいる市町村の「ハザードマップ」、「地域防災計画」を調べ(計画名、策定年度、地域特性、被害想定など)、街の特徴をイメージしておいてください。
(2)避難所の種類と役割を調べておいてください(一時避難場所、広域避難所、指定避難所、福祉避難所など)。
(3)災害報道等ニュースでの「避難所生活」はどんなイメージか考えておいてください。
(4)避難所での炊き出しにおける考慮事項を調べておいてください。
(5)避難所生活に必要となる避難所への携行品を調べて持参してください(訓練当日は必要最低限の携行品のみを持参する。ただし、携行品には、発災直後、ライフラインが途絶した中で食料、飲料の配給がないことを想定し、各自1食分の保存食を含める)。
(6)あなたが今回の訓練で学びたいことを整理しておいてください。

事前講義 講義①「災害に関する基礎知識」 講師:日本連盟プログラム委員会副委員長 野上 健治
1回目は参加者とのディスカッションを行うため、9月1日にオンラインにて開催し、動画配信も行いました。
講義に先立ち日本防災士機構の國松 孝次 会長からの激励のことばをいただきました。
講義②「避難所運営について」 講師:運営委員会委員 伊藤 郁夫(神奈川連盟)
講義③「災害時の情報伝達とコミュニケーション」 講師:運営委員会委員 松井 拓道(奈良県連盟)
講義④「障がい者との関わり方およびダイバーシティへの取り組み」 運営委員会委員 後 海咲(宮城県連盟)、伊藤 芳治(千葉県連盟)、小松 誠(東京連盟)
講義⑤「災害と医療 避難所で知っておくべきこと」 講師:運営委員会委員 三和 千里(兵庫連盟)
事後課題 参加者は、集合訓練の経験をもとに、各自が住んでいる地域の避難所運営や自主防災組織に関する課題に12月末までに取り組むことで、訓練の修了を認証されます。

(1)今回の訓練について自隊指導者・地区コミッショナー・県コミッショナーに概要を報告する。
(2)あなたが現在住んでいる市町村の地域防災計画担当課を訪問し、今回の訓練を踏まえ、避難所運営に関する現状と課題を把握する。
(3)上記の担当課にあなたの生活エリアの自主防災組織を紹介してもらい、その自主防災組織を訪問あるいは自主防災組織のリーダーと面談し、今後の防災訓練への参加や災害時のスカウトの役割について意見交換する。

日程別プログラム概要

第1日目 9月16日(土) プログラム概要
午 前 参加者集合・開会式
オリエンテーション
アイスブレイク


午後① 基調講演「災害は想像を超えてやってくる」 地震災害や被害想定としている東海・東南海地震、防災・減災、自助・共助・公助等の説明
午後② 避難所運営シミュレーション「HUG」 静岡県が開発した図上訓練の避難所運営ゲーム(HUG)
夜 間 避難所運営訓練①(避難所の初動運営) 発災~屋外避難指示~避難所移動
参加者が地域防災組織として避難所開設準備~避難所開所
ライフライン(電気、水道、ガス等)途絶のため持参した保存食による夕食
第2日目 9月17日(日) プログラム概要
午 前 避難所運営訓練② (展開フェーズ1)給水車やDMAT(災害派遣医療チーム)の到着、備蓄食料を使った朝食

(展開フェーズ2)火災発生(消火活動)、体調不良者発生【CPR(心肺蘇生)訓練】

(展開フェーズ3)食料他到着による炊き出し(昼食)、要配慮者への対応、避難者のニーズの多様化

午 後 避難所運営訓練③講義とディスカッション 事前講義からのFAQを含めた追加講義と訓練との連携
「避難所運営に関する基礎知識」
「災害時の情報伝達とコミュニケーション」
「障がい者およびダイバーシティ対応」
「避難所で心の相談を受け付ける」
夜 間 参加者交流
訓練再開(余震の発生) 2次避難の決定と避難所撤収指示
第3日目 9月18日(月・祝) プログラム概要
炊き出しによる朝食
午前① 避難所運営訓練④ 避難所の子どもたちを和ませるゲーム等レクリエーション
避難所撤収
午後② 訓練全体の振り返り 参加者による成果発表(避難所運営の難しさ、災害のフェーズの推移と対応、自分に不足している知識・スキル)、事後課題
午 後 閉会式・参加者解散

集合訓練 まとめ動画

参加者体験談

岩手連盟 盛岡第10団 鈴木 倫太朗

私は今回の集合訓練で、会場を避難所とした運用と、2泊分の避難所生活を体験し、運営と避難者両方の苦労を経験しました。東日本大震災当時の私は岩手県内陸に住んでいたため、停電は起こりつつも自宅で過ごし、数日経ってからニュースで津波のことを知りました。模擬の避難所生活では、最低限のスペースのみ確保されており苦労することが多くありましたが、当時家を失った人たちは避難所生活でこのような思いをし、さらにいつまで続くのかわからない不安を抱えながら耐えていたのだろうと考えました。この経験を活かし、災害時には自分とは異なった事情を抱える人がいることを理解して、支援したいと考えています。今回の訓練は、非常時のスカウトとしての立ち回りや心構えについて学べるとても有意義な機会でした。

東京連盟 練馬第15団 金野 麻妃

今回の集合訓練で一番印象に残っているのは、配慮が必要な人やペットを連れた避難者の対応でした。訓練中は、屋内の安全が確保できていたため対応が可能でしたが、実際の避難所では環境も違えば、さまざまな事情をもった避難者が今回と同じように来るとは限らず、その場合の対応は?と考える良い機会となりました。
私は今まで災害の映像や話、文章でわかったつもりでいましたが、今回の体験は予想以上に大変でした。しかし、このような経験をすることで実践時に役立てることが、ボーイスカウトのおきてである「いつも他の人々を助けます」につながると私は思います。

静岡県連盟 焼津第2団 畠山 佑紀

今後30 年以内に70% の確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震。集合訓練の開催地であり私の地元でもある静岡県では、避難者数が130 万人に達すると想定されています。
今回の集合訓練は、この大量の避難者に対応するための避難所運営に焦点を当てたもので、組織運営からメンタルケアまで実践的に学びました。その中で私が共通して重要だと感じたのは、さまざまな専門性よりもコミュニケーション能力でした。たった3日間の訓練でしたが、心にも体にも余裕がない被災者が自主的に運営しなければいけない避難所において、密なコミュニケーションは必須だと痛感しました。
この集合訓練に参加したからこそ得られた知識や経験を地域に還元できるよう、今後も努力していきたいです。

兵庫連盟 西宮第13団 森下 結友

訓練1日目の夜、災害発生時を想定したシミュレーション訓練が始まりました。僕自身、避難所の設営が必要になるほどの規模である災害は経験したことがなく、連続して難しい判断を迫られる緊張感に圧倒されました。この訓練、及び併せて実施されたHUGというゲームにおいて私は、大変な状況に置かれた人々に寄り添いつつ避難所を運営する方法、という知りたかったことだけでなく、運営メンバー内での精神的負担を減らす方法、という新しい視点・技術を学ぶことができました。そして、同年代スカウトの被災体験を聞き、そうした技術を発災時に活かして被災地の力になりたい、と強く考えるようになりました。RS集合訓練は、自分を見つめ直す新たな機会となりました。

奈良県連盟 北葛城第1団 山形 明日香

今回の集合訓練では、ハンディキャップのある方や高齢者などの配慮が必要な方への対応、動物を連れた避難者への対応などについて、さまざまな視点から考えることができ、勉強になりました。
私は普段は看護師をしています。避難所運営の際には、避難者の健康調査や衛生管理を行い、健康調査では慣れない避難所生活での不安の傾聴なども行う必要があるとわかりました。
一番印象に残ったことは、実際の被災についての経験談を聞いたことです。自分と同年代のスカウトの東日本大震災での経験談について聞いた時、同じ小学生ながらにとても壮絶な経験をしたのだと感じました。
全体をとおして、とても良い経験になりました。ありがとうございました。

長崎県連盟 島原第1団 末吉 美夢

今回の体験により、自分が今できることとできないことは何なのかを改めて考えることができました。避難所は一刻も早い判断を迫られ、そのうえ多くの人やさまざまな問題が押し寄せて来る環境です。すべての人や問題に対応できるわけではないです。しかし、その中でも自分ができることを見つけ、いかに素早く行動に移せるかが重要なのかを実感しました。救護班で行った傷病者対応や物資班で行った外部支援団体との連絡といった大きなことから、避難者を避難スペースまで案内する時の不安を除けるようなちょっとした声掛けや気遣いといった小さなことまで自分が今できることを確実にやっていくことが大切だと思いました。

 

この件に関するお問い合わせ

ボーイスカウト日本連盟事務局青少年プログラム担当
Email: program@scout.or.jp

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