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<機関誌「SCOUTING」2023年9月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

よりよい「体験活動」を、より多くの子どもたちにとどけよう!
—スカウティングが取り組む地域課題と連携について—


ボーイスカウト日本連盟の中長期計画では、2032年までにこれまで以上に「地域に根差したスカウティング」を目指し、さらには「全ての人に開かれたスカウティング」を展開していくこととしています。その施策を具現化する一つとして、「地域の青少年に体験活動を提供する取り組み」を挙げています。2020年度から取り組んでいる「ボーイスカウトとあそぼう! ワクワク自然体験あそび」も、この事業の一つとして積極的に全国で展開を進めています。

出口の見えなかったコロナ禍において、子どもたちの思う存分に外で友だちと一緒に遊びたいというニーズに対して、日本連盟では「自然体験活動」を地域に提供することを推奨し、展開してきました。しかし、そもそも「体験活動」とは、「自然体験」に限ったものではありません。特定の「体験」を意図的、計画的に提供する活動を指すものであり、2013年1月に中央教育審議会から答申された「今後の青少年の体験活動の推進について」によれば、体験活動は、お手伝いや地域の年中行事などの「生活・文化体験活動」、登山やキャンプ、星空・動植物観察などの「自然体験活動」、ボランティア活動やインターンシップなどの「社会体験活動」の3つに分類されます。そして、このような体験活動に参加したという経験を持つ子どもたちは年々減少しているといわれており、加えて、その保護者層でも子どもの頃に体験活動に参加をした機会が少ないという指摘もあります。「体験活動」は、1990年代から社会で使われるようになった言葉であり、当時の青少年教育行政の中心的課題として取り上げられました。すなわち、この頃から体験を意図的に行う活動が必要であったということが窺えます。

自然体験活動といえば、自然に親しみ、自然をより深く理解していくことが期待されますが、体験活動で得られるものはこれだけに留まりません。活動を行うプロセスでグループの仲間と体験することで、ともに学ぶこと、人の関わりを学ぶこともできます。また、活動がキャンプで行われるのであれば、規則正しく生活をするという体験を通じての学びもあり、子どもたちの成長に有用なものがたくさんあります。

スカウティングで行われる活動は、すべてが体験活動であり、年間を通じて行われるものにはさまざまなものがあります。冒頭の「地域の青少年に体験活動を提供する取り組み」は、コロナ禍では「自然体験活動」を前面に取り組んできました。今後は、体験活動を広く柔軟にとらえて、いろいろな形の活動を地域で提供していくことができるのではないでしょうか。それは「特別」な体験を提供するのではなく、私たちが普段から行っているスカウト活動そのものを提供することです。通常の隊集会に参加ができる機会や場を持つことによって、「ボーイスカウトの活動に参加すると、楽しくいろいろなことが体験できる」といった認識を社会に広げることで、もっと多くの参加が得られるはずです。そのためにも「体験活動=組織拡充のための特別な活動」とせずに、「体験活動= スカウティングそのもの」として、地域の青少年に体験活動を提供することが、地域貢献の一つの形であるという視点を持ち、結果として、スカウティングが地域に根差したものになるよう取組んでいきましょう。

体験活動を地域で積極的に展開するために活用できるもの
「体験の風をおこそう

日本連盟では、青少年運動などに関わる団体とともに「体験の風をおこそう」運動を展開しています。各団での活動を登録することで、広報の一助になるとともに、活動に利用できる物品の提供なども得られます。トップページの「一緒に体験の風をおこそう」よりアクセスしてください。


「そとチャレラリー」

Webページから「そとチャレラリー」で詳細をご紹介しております。こちらは、自然体験がキーになりますが、コロナ禍で縮小した「リアルな体験」の機会を全国で充実させていこうとするもので、国立青少年教育振興機構、ガールスカウトと連携し、「お外でリアル体験!」をコンセプトとした懸賞付きのスタンプラリー企画となります。「ボーイスカウトとあそぼう! ワクワク自然体験あそび」の参加者も応募できますので、事業を企画する折に、ぜひ活用してください。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2023年9月号にも掲載している内容です

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