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2022年度夏季の諸活動に向けて

総コミッショナーから夏季の諸活動に向けての注意喚起が全国の都道府県連盟を通じて発信されました。

全都道府県連盟宛・総コミッショナー発信文書

平素は、各地におけるスカウト運動振興のため、日々ご尽力いただき厚くお礼申し上げます。 さて、貴連盟および所属各地区・団・隊においては、18NSJをはじめ夏季に向けた諸活動の準備が進められていることと存じます。 今年度も、スカウト活動のより一層の安全への注意喚起を図るため、下記並びに添付の通り留意いただきたい事項を通知いたしますので、貴県連盟指導者各位にご周知いただき、スカウト教育の好機である夏季諸活動において、より安全で活動的なプログラムが展開できるようご指導、ご支援をお願い申しあげます。
 
1.安全計画の立案及び関係指導者、保護者への徹底
 
2.安全計画に則った安全教育、安全対策、安全管理の実施展開
 
3.スカウトのプログラムに対応する技量の把握及び確実な基礎技能訓練(事前)の実施
 
4.危機管理体制の構築(事故発生時等の緊急搬送の体制、通信連絡の体制など)
 
5.新型コロナウイルス感染症に対する対策

敬具

公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 総コミッショナー 村田 禎章

夏季の諸活動の留意事項

1.夏季特有の安全対策 本年度スカウティング誌5月号に、「2020年度のそなえよつねに共済事故データ分析」が掲載されています。これによりますと、事故発生件数は104件で、例年と同様に8月の事故発生件数がもっとも高く、全事故件数の22.1%を占めており、活動中に誤って転倒する、薪割り中の切り傷や火起こし中のやけどのほか、ハチやブユ、ダニによる虫刺されによる被害も報告されています。特に、下記についての安全対策を図り、安全な活動を行ってください。(対策の詳細は別紙参照)
①熱中症対策  ②水辺活動の安全対策  ③登山・ハイキングでの安全対策  ④危険な動植物への対応  ⑤食中毒対策  ⑥天候チェック
(1)通常時の安全対策に加え、夏季の気象条件や環境の変化など季節に応じた対策が必要です。 (2)活動計画の折には、事前準備を十分行い、実施中は状況に応じた具体的な指示・指導を徹底しながら、安全確保に努め、万が一事故が発生した際は迅速で的確な対応がとれるよう取り組みます。そして、スカウト・指導者一人ひとりが安全への意識を高め「自分のことは自分で責任をもつ」心構えの醸成に努めます。 (3)公共交通機関での移動や公共施設利用時は、他の利用者の見本となるよう「ちかい」と「おきて」の実践に努めて行動します。また、キャンプ地が民家に接している場合は、近隣住民への事前の挨拶など迷惑を及ばさぬよう配慮します。 (4)川、海、山など自然の中で行われる活動が多い時期ですので、活動を意図的、計画的(当然、装備計画や安全対策、安全教育も含まれます)に実施することを肝に銘じて、スカウトに冒険的で魅力溢れる活動を提供してください。 2.キャンプ等の計画について 指導者は、スカウトの興味や冒険心等を追求しつつ、教育効果と安全確保を心がけ、プログラムに対して充分かつ綿密に計画し、現場では、スカウトの体力、技能、体調等を考慮し、安全で楽しい経験ができるよう取り組みます。 また、終了後には、万が一に備えて、協力の要請をお願いした緊急連絡先や関係機関(病院、警察、消防、関係県連盟等)には無事終了の報告とお礼を行うようにしましょう。 3.ヒッチハイクについて ヒッチハイクは、多くの人との出会いや他人の優しさに触れるなど、旅の可能性を広げるものですが、偶然や運に左右され、前述にある綿密な計画に基づいた活動とはなりません。また、犯罪に巻き込まれる可能性も高くなりますので、ボーイスカウトではヒッチハイクは行いません。 4.アレルギー疾患のあるスカウトの対応について アレルギー疾患のあるスカウトが食物や蜂などのアレルギー反応によりアナフィラキシーショックを発症し、非常に短時間のうちに重篤な状態に至ることがありますので、アレルギー疾患のあるスカウトが安心・安全なスカウト活動を行うためには、保護者と指導者の間で日頃から意志疎通を図り、正しい知識に基づいた予防や対処が必要です。 5.各種書類の提出 活動場所や内容に応じて必要書類を県連盟や行政管轄部署等に提出することが求められています。 (1)登山等の活動を実施する場合は、登山計画書(登山届)を管轄している警察署等に提出します。 (2)活動を県外で行う場合は、隊指導者は団を経由して所属県連盟に県外旅行申請書を提出します。 (3)隊指導者は、全ての活動の実施計画書、安全計画書を必ず事前に作成し、団委員長に提出し承認を得ておきます。 6.その他 日本連盟ホームページの各団情報ページ等に「ビーバー隊、小学校入学前の9月から」などの表記が散見されます。「ビーバースカウトは、小学校1年生から小学校2年生までの児童とし、団として対応ができる隊は、小学校入学前の1月から3月までの児童を仮入隊として対象とすることができる。」というのが原則ですので、正しい対象で活動するとともに、各団での募集用チラシやポスター、募集時の説明なども、この原則に沿った説明をお願いします。 また、日本連盟のWEBサイトの各団情報等に上記の間違った記載がある場合は、日本連盟事務局において、正しい内容に訂正させていただきますことをご了承のほどお願いいたします。

以上

別紙:夏季特有の安全対策

1.熱中症対策の徹底 ①気象状況を把握し、活動を見直す ・天候に加え、気温、湿度の状況も把握してください。 ・状況に応じて、予定の活動を見直す、中止するなどの判断を確実に行ってください。 ②安全な場所の確保と十分な休憩 ・活動中には、日陰や風通しのよい場所の確保を行い、休憩を十分にとれるよう努めてください。 ・暑さや日差しにさらされる場合は、休憩をこまめにとり、無理をしないようにしましょう。 ③持ち物・服装 ・野外での活動では必ず帽子をかぶり、通気性のよい服装で活動しましょう。 ・必ず飲み物を用意し、早めに飲むようにしましょう。 ・折りたたみ傘など日よけとして活用するなど工夫しましょう。 ④水分・塩分補給 ・のどがかわいていなくても、こまめに水分をとりましょう。 ・大量の汗をかくときは、特に塩分補給をしましょう。 ・活動中は適宜、休憩と水分を取る時間を持ちましょう。 ⑤その他の配慮 ・活動の内容によっては、単独で行動することがないようにすることも大切です。 ・活動に参加する前の健康状態、とくに十分な睡眠や食事とるようにしましょう。 ・これらのことをスカウトだけでなく指導者にも徹底してください。 ⑥熱中症と思われる時 ・すぐに医療機関へ相談、または救急車を呼びましょう。 ・涼しい場所へ移動し、衣服を脱がし、体を冷やして体温を下げましょう。 ・塩分や水分を補給しましょう。(おう吐の症状がある場合や意識がない場合は、むりやり水分を飲ませることはやめましょう) ⑦参考(下記の情報を参考に、熱中症の予防、対策に努めましょう。) ・環境省の熱中症予防情報サイト(http://www.wbgt.env.go.jp/) ・一般財団法人日本気象協会の推進する「熱中症ゼロへ」(https://www.netsuzero.jp2.水辺活動の安全対策 川や海の水には流れがあり、離岸流、ダンパー波、一発波、インショアホールなどといった危険な波があるとともに、冷たい水による低体温症、増水や消波ブロックに潜む危険もありますので、現地の情報等を事前に調査のうえ、十分な安全対策を講じるようにします。 特に、海での活動については、令和元年度スカウティング誌7月号に「海での活動について 自己救命策の3つの基本(①ライフジャケットの常時着用、②連絡通信の確保、③海難の際の緊急通報電話である118番の有効活用)」を掲載していますので、再度ご確認ください。 3.登山・ハイキングでの安全対策 これらの活動には、道迷い、滑落、落石、落雷、崩落、鉄砲水などの危険があります。また、夏山登山でも低体温症は起こり得ます。これらの危険を認識し、最悪の天候を想定した防寒着、雨具等の装備を持つなど対処できるようにします。また、体力増強や体調管理を図り、コンパスワークや読図等のスキルも事前に修得し安全対策の一助とします。 日本連盟ホームページ(https://www.scout.or.jp/member/info/comi_tozan_20131218/)に、日本連盟コミッショナー通達「登山・ハイキングの実施に関して」を掲載しておりますので参照してください。 4.危険な動植物への対応 野外活動では、危険な生物に遭遇することがあります。最近はクマの被害も出ています。活動先の環境や動向を調査し、地元の方に情報を聞く等、その対応を必要以上にお願いします。 また、スズメバチ被害も毎年20人前後の死亡者(厚生労働省人口動態調査より)が出ており、最も危険な生物といえます。毒蛇、ムカデ、ヒルなどの危険生物の他、マダニ等の媒介による感染症が多く報告されておりますので、マダニの生息場所に入る場合には、長袖の服、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくし、活動後には、入浴して体をよく洗い、付着したマダニがいないか点検し、衣服は洗濯するなど予防に努めます。また植物では、ウルシや棘のあるノイバラなどにも注意が必要です。接触の可能性がある場合は、被害に遭わないよう予防に心がけるとともに被害への対処ができるようにします。 5.食中毒対策 夏季はO157など食中毒が発生しやすくなります。食材の保存には十分注意して、予防対策を講じておきます。 6.天候チェック 局地的な集中豪雨など異常気象や落雷による事故・被害が発生しています。活動前に必ず天候チェックを行い、プログラムの実施、変更、延期または中止など適切に状況を判断して決定します。

以上

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