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<機関誌「SCOUTING」2023年9月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

スカウト運動の魅力の一つは国際性です。今夏開催された第25回世界スカウトジャンボリーでも日本のスカウトたちはさまざまな国のスカウトとの交流を楽しみました。その他、日本連盟では個人またはグループの海外派遣事業を実施しています。今回は国際事業の一部の紹介と次ページ以降、海外でスカウト体験をしてきたスカウトたちの声を紹介します。
国際事業の紹介

カンダーシュテーク夏季野営スタッフ派遣

スイスのカンダーシュテーク国際スカウトセンターでは、毎年各種のプログラムを提供しています。特に夏には夏季野営のスタッフを各国から募集しており、スタッフは一定期間訓練を受けた後、プログラム、ゲストサービス等の諸業務を担当します。この派遣の参加者は、キャンプに参加する多くの国のスカウトおよび指導者と交流することによって国際親善と理解を深める貴重な体験を積むことができます。また、アルプスでの登山や野外活動を体験し、技能の向上を目指すこともできます。
参加者は、6月から9月までの派遣期間前後に1週間程度、スイス国内や周辺国の訪問を計画することができます。

国際紹介状の発給

国際紹介状とは日本連盟が発行する加盟登録証の英語版になります。国際紹介状は世界スカウト機構が定める世界共通のカードで、各国のスカウト連盟はその国の加盟員が海外に渡航する際に発給します。
国際紹介状がないと活動ができないわけではありませんが、国際紹介状なしで渡航し、万一活動中に事故や事件に巻き込まれた場合には、相手国連盟に多大な迷惑をかけることになりますので、海外でスカウト活動をする場合は、必ず発給を受けてください。
詳しい内容や発行の方法は右記QRコードまたはWeb ページより「国際紹介状」をご覧ください。

 

スカウト特別海外派遣

富士スカウト章を取得したスカウトの中から応募のあった者を選考の上、本人が独自に企画した社会性のあるテーマにより定めた国、または地域に派遣し、プロジェクトを実施するものです。派遣員は、これまでのスカウト活動を通じて体得した知識・技能・精神を一層高めると共に、海外スカウト等との親善交歓により国際理解と友情を深め、テーマに関する理解・経験を深めることを目的にプロジェクトを実施します。

 

JOTA-JOTI

毎年10月第3金曜日から日曜日に、アマチュア無線とインターネットを活用したプログラムが展開され、世界中のスカウトが参加するJOTA(ジャンボリー・オン・ジ・エアー)、JOTI(ジャンボリー・オン・ジ・インターネット)が開催されます。JOTA-JOTI開催に向けた国内でのプログラム準備の様子をご紹介します。

JOTA
JOTA-JOTI Plaza と全国に開設される「アマチュア無線の体験」会場

日本連盟と地域の方々で運営するJOTA-JOTI Plazaは、東京都杉並区、東京都豊島区、愛知県名古屋市、大阪府池田市の4か所で開催されます。また各地の個人やグループのスカウト無線局が準備を進めています。
同じ週末、アマチュア無線の資格を持たない者を対象にアマチュア無線の体験ができるイベント「体験運用の日」がCQ出版社の主催で開催されます。体験運用の楽しめる会場が地域ボランティアにより全国各地に開設される予定です。この会場からJOTAに参加することも可能です。
詳しい会場情報は月刊誌CQ ham radioやホームページでご確認いただけます。

 


 

カンダーシュテーク 夏季野営スタッフ派遣を体験して

愛知連盟 名古屋第8団 佐藤 成

私は今(8月頭)カンダーシュテークインターナショナルスカウトセンター、通称KISCでショートタームスタッフとして働いており、キャンプサイトチームに所属し、キャンプサイトのチェックイン、チェックアウト、備品や設備の管理、整備といった幅広い仕事を行なっています。仕事や仲間たちとの日々を楽しみながら毎日を送っていますが、派遣前はもちろん不安もありました。実は私自身、今回の派遣が初めてのヨーロッパ滞在であり、海外の実情に精通しているとは言えず、KISC にはヨーロッパだけでなく世界各国から様々な考え方を持った人々が集まることから、人種の違いという点においてかなり大きな不安を持っていましたが、その不安は杞憂に終わりました。ここはKISCであり、集まってくる人々は文化や常識が違っても、皆スカウトだからです。日々のスカウト活動の形に違いはあれど、皆心には他の人々を助けるという、奉仕の精神が宿っていることを感じました。
そして、何より面白い点は異なる国から来た異なる考えを持つ何千人という人々が、スカウトという一つのつながりを持っていること。このたった一つの繋がりが私たちをKISCで出会わせてくれたことを考えると自身の今までのスカウト活動が国際性という大きな意味を持っていたことに気がつきました。このようにKISCで得られる体験は数多く存在します。ぜひとも自分の考えが変わるような出会いを求め、スタッフとして、またはゲストとしてKISCにお越しください。

私のスカウト体験記 ~国際紹介状を携帯した海外でのスカウト活動~

東京連盟 世田谷第10団 枝迫 雄大

国際紹介状を初めて受け取ったのは高校1年生の夏、日本連盟主催の海外派遣に参加したときでした。入国の審査に際し、パスポートに紹介状を挟んで審査官に渡しました。お守りにする気持ちで取ったその行動は習慣になり今も続いています。大学でオーストラリアへの留学が決まった際には、現地でスカウトの友人と再会する予定ができ、制服を着たい、と自ら紹介状の発給を申請しました。その後、偶然の出会いから現地の団活動に指導者として参加することになったのですが、その際は紹介状が身分を保証してくれたことで、初対面の保護者やリーダーにも公式に認められて活動ができました。 夜、テントのすぐ横でカンガルーが草を食む音を聞けたのも、都市から離れた森で満点の星空と南十字星を見上げたことも、海外でのスカウト活動ができたからこその良い体験でした。


 


 

体験運用会場の探し方

CQ ham radio「体験運用の日」体験会場の案内等
https://ham.cqpub.co.jp

JOTI

第25回世界スカウトジャンボリーへは、日本からも多くのスカウトが参加して、海外のスカウトや指導者と連絡先を直接交換した人も多いでしょう。参加した皆さんは、その海外のスカウトたちに連絡をとって、JOTIの機会に、ビデオチャットで再会してはいかがでしょう。 「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、友情を固いものにするためにも10月の世界規模で行われるデジタルジャンボリーは絶好の機会です。
初めてJOTIに参加する隊の基本的なノウハウとして公開した、オンライン講習会とマニュアルは引き続きWebページで閲覧およびダウンロードが可能です。


ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2023年9月号にも掲載している内容です

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