文字サイズ

<機関誌「SCOUTING」2023年9月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

■ 野外活動のための安心・安全講座
気象予報と安全―その空は世界と繋がっている
気象状況や天気の予想を的確に把握することはスカウト活動の安全面から極めて大切なことであり、また、スカウトらの創造力の成長にもつながるものです。今回は、気象現象を世界規模で捉えることが新たな学びにつながるのでは、という観点からのお話です。

「台風」ところ変われば名前も変わる?!

台風(Typhoon)と同じ熱帯低気圧に、「ハリケーン」や「サイクロン」があることはおなじみだと思います。これは、発生場所で名前のつき方が分かれるものです。

空気に国境はない……から!?

空を動く台風には国境も道路も関係ありません。時に、基準となる境を越えることがあります。そうなると、これまで『ハリケーン』と呼ばれていたものが急に「台風」となったりします。近年では2018年の台風17号は「もともとハリケーンだった台風」で、2019年の台風22号は「インド洋に行ってしまったのでサイクロンになってしまった台風」でした。

その雨は、どこから来た水?!

9月は台風シーズン。その他にも6・7月は梅雨の大雨があり、冬には日本海側は大雪と、日本列島は一年中、どこかで水が降り続けています。では、活動中に喉を潤すその水は、どこから来たものなのでしょうか。

日本は世界有数の「水大国」!!

巨大なユーラシア大陸の東の端で、かつ、間に日本海という海をはさみ、また南には世界で最も水温が高い南西部太平洋があるという類まれな立地条件で、日本は年中、水が降り注ぐ国となりました。水は、山深い森の地下から湧いて出てくる……のもっと手前の「水の由来」を気にしてみると、ぐっと世界が近く感じられるのではないでしょうか。


気象への理解を深めることには、野外活動の安全のためだけでなく、そもそも「野外で生きる者」として身につけておきたい知恵や教唆、また、目の前のミクロの視点を地球規模のマクロの視点に転換してくれる、大きなチャンスがそこかしこに溢れています。スカウトハンドブックP.178にあるように空の変化を見るだけで今後の天候の予測も少しはできますが、加えて、この気象・空はどのくらいの広がりを持つものなのかをスカウトとともに感じることは、気象の本質的な理解に繋がるものと期待します。

企画・監修: 共済委員会

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2023年9月号にも掲載している内容です

<同じカテゴリー>の記事