そこから、それぞれの山に属する方々に適した訓練やサポートが必要なことが見えてきました。4年の調査の継続によって「変化」を見ることができます。5月号ではコロナ禍により活動が減っていることを示しましたが、では進級状況はどうか。活動が減れば、進級もおぼつかないと思われるでしょうが、実際には進級はコロナ禍の影響を受けていません。学年によってはむしろコロナ禍前より進級率が上昇しています。これは何を意味するのでしょうか。
進級課目のなかで特にスカウト技能の部分は、野外での「実演」を求められるものが多いです。しかし「実演」が「テスト」として行われているのではないか。それなら活動がなくてもスカウトと指導者で(インドアでも)進級ができます。つまり、活動(集会・プログラムへの参加)を通じて「やった」というのではなく、進級のために「やった」のではないか。そういう状況が見えるわけです。そこから、進級への向き合い方を考える必要性が見えてきました。
このように全団調査の分析からは、さまざまなことが分かります。全団調査2022を分析して分かったことについては『全団調査2022の注目点』としてWEBサイトで紹介していますのでぜひご覧ください。ただ、WEBサイトで紹介しているのは分析の「例」です。もっと多くの分析があり、別の目で見れば、別の解釈ができます。各県連盟(県コミッショナー)には、「統計サイト」を提供しています。これは『注目点』に掲載している情報をはじめ、多くのグラフやデータを見るためのツールで、『注目点』はそのうちのほんの一部となります。
さらに『注目点』は全国の傾向を見ているだけです。日本連盟の施策を考えるには役立ちますが、状況は県連盟ごとに大きく違い、県連盟や地区の施策を考えるには十分ではありません。そこで「統計サイト」は県連盟や地区に絞って分析できるようにしています。ぜひ県連盟での施策の立案に活用して欲しいと考えています。全団調査の入力は日本連盟や県連盟の施策( サービス)が効果的に提供できますので、これからもご協力よろしくお願いいたします。
詳しくは日本連盟WEBサイトの全団調査のページよりご覧いただけます。
ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2023年7月号にも掲載している内容です