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ベンチャースカウトの進歩が、ボーイスカウト部門からの一貫性になったことなどに伴い、これまでのスカウトハンドブックを見直しています。ハンドブック発行までにもうしばらく時間を要することから、新しい進級課程に即した内容の資料「ベンチャー活動のススメ」を用意しました。こちらはスカウトハンドブックに反映していく内容となっています。トピックの内容を参考に隊の活動や個人の進級計画にご活用ください。(2020.5.30)

関連資料

進級計画(隼スカウト章) 001_進級計画(隼スカウト章)(PDF)
進級計画(プロジェクト/技能章) 002_進級計画(プロジェクト/技能章)(PDF)
進級計画(富士スカウト章) 003_進級計画(富士スカウト章)(PDF)
移動キャンプ 004_移動キャンプ(PDF)
奉仕の精神 005_奉仕の精神(PDF)
地球市民 006_地球市民(PDF)

ベンチャースカウト活動のススメ

スカウトの進級は、初級スカウト章から順番にスカウトの最高章である富士スカウト章へと続いています。主に高校生年代のベンチャー活動では隼スカウト章富士スカウト章に取り組むことになりますが、スカウトの到達目標である富士スカウト章の進歩課目は、これからの長い人生を歩むうえで、スカウト自身の大きな助けとなります。富士スカウト章を取得したスカウト「富士スカウト」は我々が目指す良き公民としての資質を体得し体現した姿です。ベンチャースカウトの皆さんは、富士スカウト章の取得に向け、限られた時間のなかで効果的に進級課程を進められるよう、進級計画をしっかりと立てていきましょう。


進級計画

隼スカウト章

隼スカウト章のキーワードは「冒険と奉仕」であり、この章の進歩の目標は「スカウト技能を役立てることができ、ジュニアリーダーとしての基本的な隊運営の知識を有し、健全な体と精神を身につけます。」とあります。ここでの重要な活動はジュニアリーダーです。

ジュニアリーダーとは、成人指導者の協力を得てリーダーとして隊運営に参画する活動であり、またジュニアリーダーとして活躍することは君の所属する団そして地区や県連盟の活動が活性化し、それらの活動が活性化することで結果的に君の活動も充実することに繋がっていきます。またそれは、君がこれまでにお世話になってきた人たちへの恩返しとなり、それが君の後輩たちに受け継がれていくことになります。ゆえに君もジュニアリーダーの活動を通してスカウト運動の輪を広げていくことに参加しましょう。
隊運営の知識を得るためには、実際にビーバースカウト隊、カブスカウト隊、ボーイスカウト隊の各隊の隊運営に何らかの役務を持って参画することが一番の近道となります。また、ベンチャー会議の中心メンバーとしてベンチャー活動を推進することも、隊運営を身につけるために有効な手段となります。積極的にジュニアリーダーとして行動すること、そして6つの活動の分野の進級細目に沿って進級計画を立ててみましょう。

プロジェクト/技能章

プロジェクトとは、何らかの目標を達成するための計画を指し、普段の活動とは一線を画して行う行う特別な活動です。プロジェクトは目標を達成するために一定の期間を定めて活動で、通常は1カ月から3か月程度を期間とします。プロジェクトは企画から計画、実施、評価までを期間とするのでひと月未満であると十分な活動を行うことができません。また、活動の内容によっては半年から1年程度のビッグプロジェクトもありますが、この場合は途中に段階的な目標をスモールゴールとして置いて中間評価を行うことで、段階的に達成度がわかるためにプロジェクトの進捗が理解でき方向性を間違わないことや、途中で達成感を味わえることで持続性を保つことができます。
プロジェクトは一定の目的を持った活動に有志が集まり一定の集団で行うグループプロジェクトと、個人として目標を設定して取り組む個人プロジェクトがあります。これは、取り組む活動の内容によって方向性が決まるものであり、具体的には隊で実施する探検旅行などを進めるにはグループプロジェクトの形態をとることが有効です。また、個人の成長を求めるもの、技能の向上、知識の向上などの目標を持ったものは個人プロジェクトの形態が有効となります。進級に関わるプロジェクトについては、隼スカウト章の課目でグループプロジェクトに取り組み、富士スカウト章の課目では個人プロジェクトに取り組む必要があります。

技能章とは、専門的な技術を身に付けたことを証明する章のことで、スカウトの得意な活動分野に合わせて自由に選択できるように、全83種類の技能章を設けています。2級スカウト以上のボーイスカウト・ベンチャースカウトになれば、挑戦することができます。富士スカウト章の取得には、取得が必須となる9種類の技能章の他に6種類以上の取得が必要になります。興味のあるものや得意分野の技能章を選び計画的に取得できるようにチャレンジしていきましょう。

富士スカウト章

富士スカウト章のキーワードは「リーダーシップ」であり、進歩の目標は「プロジェクトの計画・実施・報告ができ、奉仕の精神と社会の一員としての責任を持ち、社会貢献を果たせるリーダーとなる資質を身につけます。」とあります。また、ベンチャー活動は自分で考え、自分で行動することを目指しますが、それは社会に役立つため、大きくは、より良き社会、平和な社会、世界を築くことに貢献するためと言えます。いつでも、視野を広くもつこと、多くのことを実際に見たり聞いたり、人と出会ったりするように心がけることが大切です。

ここでの重要な活動はプロジェクトであり、プロジェクトの進め方を、しっかりとマスターする必要があります。つまり、富士スカウト章を取得しようと思うと、自分で自分の活動をマネジメントができ、計画性を持って行動ができ、その行動と結果に責任を持てるようにならなければなりません。このように書くと、非常に難しく思えるかもしれませんが、ここでのキーワードにあるプロジェクトをマスターすることで、必ず富士スカウト章は取得できるようなるのでしっかりと目標を持って取り組んでいきましょう。


隊活動

移動キャンプ

移動キャンプは、ベンチャースカウト隊のキャンプの基本形態であり、ボーイスカウト隊で経験してきた長期固定キャンプで、しっかりとキャンプ技能を身につけていることを前提としたキャンプとなります。移動キャンプは、その名の通り、キャンプ地を日々変えて移動しながらキャンプを続けることを指します。このキャンプの形態は、移動範囲を広げることができ、遠くの土地へ足を延ばしたり、その訪れた土地をある程度の範囲にわたって調査することに向いています。
探検旅行は、移動キャンプの目的の一つにあたります。探検旅行をするために移動キャンプを実施すると考えればよく、探検旅行はベンチャーのモットーである「ルックワイド」を体現することに最も適している活動と言えます。自分たちの知らない地域へ遠出をして、その風土や環境に接することで探検、探究をすることにつながります。
また、キャンプをすることを目的にするのではなく、キャンプは目的を達成するための手段として活用しましょう。ボーイスカウト隊で培ったキャンプ技能を活かすために、キャンプを応用して様々な活動にチャレンジしていきましょう。

奉仕の精神

奉仕の精神の根本にあることは、他の人々の役に立つことである。君も経験したことがあるだろう。誰か身近な人が困っている時に手を貸してあげたとき、助けた人から「ありがとう」と言われたことが。そのとき、君は感じたことだろう。人の役に立ったときのなんともいえない幸福感を。「ありがとう」と言われてうれしく感じたことだろう。人からお礼を言われて嫌な気持ちになる人はいないはずである。
人の役に立つということは、広い意味で社会の役に立つことだ。社会の役に立つこととは、単に奉仕をするだけでなく、社会に参画して社会の一員として貢献し必要とされるということである。このように、社会の役に立つということは、この人間の社会で生活するうえで、とても重要なことである。だからこそ、奉仕の精神を持っていることがとても大切になる。奉仕の精神とは、とにかく無理をしてボランティアに参加するといった意味合いのものではなく、人に役に立ち、社会の役に立ちたいと思う心なのである。そして、その実現の形は君が社会に出たのであれば職業を通して地域社会の一員としてよき公民として過ごすことで自然と体現できるようになるのである。

地球市民

グローバル・シチズンシップ(地球市民)とは、地球に生きる誰もが地球社会の一員であり、そこに参画する責任を持つ市民だという意識であると言えます。人種、国籍、思想、歴史、文化、宗教の違いなどの「違いをのりこえ、誰もがその背景によらず、人として尊重される社会の実現」を目指し、活動しようとするものを指します。
ボーイスカウトにおいては、ベーデン-パウエルが100年前よりこの多様性というものの重要性を説きこの運動に取り入れられています。スカウティングを通して世界中の仲間と活動を共にすることはボーイスカウトならではの活動です。特にベンチャー活動ではジャンボリーに参加するだけでなく、その高度な行動力で積極的に文化交流を行うことによって、この多様性の社会の実現に向けて多様な文化や考え方にふれることが求められます。
地球人口が増え大量消費の時代になり、その過程で起こる環境への汚染がこれからの人類にとって非常に大きな問題となっています。この問題は国連でも重要な課題として捉えられ2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」SDGs(エスディージーズ)としてグローバルな社会目標として掲げられます。これは、この社会に住む一人ひとりが社会生活を営むうえで持続可能な社会の実現のために取り組まなければならないもっとも大切な人類としての課題です。
これからの世界を担っていく君たちはこの開発目標に対して何らかの形で取り組まなければならない。まずはSDGsの概要を知り、そのことに対して自分は何ができるのか考えてみよう。


この件に関するお問い合わせ

ボーイスカウト日本連盟事務局 教育開発部
Email: program@scout.or.jp

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